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最近お腹の周りについた脂肪が気になる、という方はいらっしゃいませんか?男女ともに中年以降は代謝が悪くなるため、どうしてもお腹周りに脂肪がつきやすくなってしまいます。特に、仕事が忙しくて食生活が不規則な方、夜遅くまでお酒の付き合いがある方、運動をする暇が全くないという方では肥満の傾向が強くなります。
肥満は見た目が悪いだけでなく、心疾患や脳血管疾患などの重大なリスクファクターにもなるため、早期に改善することが望まれます。
今回の記事では、お腹周りの脂肪を落とすと言われている防風通聖丸(ぼうふうつうしょうがん)と呼ばれる漢方薬の効果について解説しています。
ダイエットに興味のある方はもちろん、便秘症、肩こり、高血圧などに悩まれている方にもお使いいただける薬ですので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。防風通聖丸とはどんな薬?

防風通聖丸は北京同仁堂漢方薬

防風通聖丸(ぼうふうつうしょうがん)は北京同仁堂から造れた白色の水丸で、味が甘・微苦・塩辛いです。選び抜かれた最高品質の材料を使い、古くから伝わる伝統的な処方で作られた信頼できる漢方薬です。無添加で天然の生薬を使用、防腐剤は一切使っていません。
防風通聖丸は漢方薬に分類される薬です。漢方薬とは漢方医学で使われる薬の総称です。

天然に存在する植物、動物、鉱物などには薬としての働きを持つものが多くあります。これらは生薬(しょうやく)と呼ばれますが、漢方薬は複数の生薬を処方に従って適切な量だけ混ぜ合わせて作られた薬で、独自の効果を期待することができます。

防風通聖丸にも複数の生薬が配合されており、これらが協調的に作用することによって脂肪の燃焼や便秘の解消といった様々な効果を得ることができます。

防風通聖丸に含まれる成分

防風通聖丸は17種類の生薬からなる漢方薬であり、具体的には防風(ぼうふう)、荊芥穂(けいがいすい)、薄荷(はっか)、麻黄(まおう)、大黄(だいおう)、芒硝(ぼうしょう)、梔子(しし)、滑石(かっせき)、桔梗(ききょう)、石膏(せっこう)、川芎(せんきゅう)、当帰(とうき)、白芍(びゃくしゃく)、黄芩(おうごん)、連翹(れんぎょう)、甘草(かんぞう)、白朮(びゃくじゅつ)が配合されています。

これらの生薬の中でも特に重要な働きをするのが麻黄、甘草、連翹、大黄で、脂肪の燃焼や便秘の解消に大きな役割を果たしています。

防風通聖丸の服用の仕方

防風通聖丸は通常、1日3回、食前に水またはお湯で服用することとされています。防風通聖丸に限らず、一般に漢方薬は食前などの空腹時に服用する方が効き目が良くなると言われているため、できるだけお腹が空の時に飲むようにしましょう。

飲み忘れに気づいた時は、一度に2回分を服用してはいけません。次の服用タイミングまで5時間程度以上空けられるようであれば1回分服用して構いませんが、次まで近い時にはスキップしてください。

防風通聖丸にはどんな効果がある?

防風通聖丸に含まれる山梔子や麻黄といった生薬には脂肪細胞を活性化する働きがあります。これによって脂肪の分解・燃焼が促進されて、お腹周りの脂肪を減らすことが期待できます。

また、防風通聖丸には食事として摂取した脂肪が体内に吸収されるのを妨げたり、便通を促進することで便とともに脂肪を体外に排出したりする働きもあり、余分な脂肪が体内に蓄積されるのを防ぐ効果も期待できます。

防風通聖丸のこうした肥満改善効果は実験によっても証明されています。小林製薬が実施したマウスを対象とした試験では、防風通聖丸に余分な脂質を便とともに排泄する効果があることが明らかになっており、この結果は英国科学誌の『Journal of Ethnopharmacology』にも掲載されています。

ただし、防風通聖丸には即効性があるわけではありません。効果を実感できるまでには最低でも2週間程度は服用を続ける必要があります。

また、後で説明するように漢方薬は服用する人の体質によって効果の強さに差が出ることがあります。一カ月以上服用しても何の効果も見られない場合は薬が体質に合っていない可能性もあるので、医師、薬剤師、登録販売者などの専門家に相談することをおすすめします。

便秘の解消

防風通聖丸に含まれる大黄や芒硝と呼ばれる生薬には便を緩くして便通を促進する働きがあり、便秘を解消することが期待できます。

このため、肥満体型でなくても慢性的な便秘に悩まされている方には防風通聖丸の服用が有効です。ただし、普段から下痢になりやすい方が服用すると下痢の症状が強くなる可能性があるので、注意が必要です。

その他の効果

防風通聖丸には、他にも、高血圧や肥満に伴う動悸、肩こり、のぼせ、むくみ、副鼻腔炎、湿疹、皮膚炎など様々な症状に対して効果があるとされています。ご自身の症状に防風通聖丸が適するかどうか分からないという方は、医師、薬剤師、登録販売者などの専門家に相談するとよいでしょう。

防風通聖丸の服用の仕方

防風通聖丸は通常、1日3回、食前に水またはお湯で服用することとされています。防風通聖丸に限らず、一般に漢方薬は食前などの空腹時に服用する方が効き目が良くなると言われているため、できるだけお腹が空の時に飲むようにしましょう。

ちなみに漢方薬を「食間に服用すること」と指示されることもありますが、食間とは「食事をしている間」ではなく「食事と食事の間(食事をしてから2時間以上たった後)」を意味する言葉なので注意してください。

飲み忘れに気づいた時は、一度に2回分を服用してはいけません。次の服用タイミングまで5時間程度以上空けられるようであれば1回分服用して構いませんが、次まで近い時にはスキップしてください。

防風通聖丸を飲むだけでダイエットができる?

防風通聖丸には一定の脂肪燃焼効果はあるものの、飲んだら直ちに痩せられるという魔法の薬ではありません。
防風通聖丸が体質に良く合う人であれば、服用の継続で徐々に体重が減っていく場合もあります。
ただし多くの人では、ダイエット効果を得るためには防風通聖丸の服用だけでなく、食事の内容や量を見直したり、適度な運動をすることも必要になります。防風通聖丸を飲んでいるからといって油断して普段よりも食事量を増やしたり、運動をしなくなったりすると逆効果になる可能性があるので十分に注意してください。

こんなときは早めに病院へ

防風通聖丸を服用中に以下のような症状が見られた場合は、服用を中止して早めに病院に行くことをおすすめします。

・発熱、せき、呼吸困難などがあらわれた場合
・筋肉痛、悪心、嘔吐、便秘、痙攣などがあらわれた場合
・脱力感、四肢痙攣・麻痺などがあらわれた場合
・血圧上昇、むくみ、体重増加などがあらわれた場合
・食欲不振、全身倦怠感、黄疸などがあらわれた場合
・腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などが繰り返しあらわれた場合

防風通聖丸服用時の注意点は?

防風通聖丸の服用に注意が必要な人

防風通聖丸に限らず多くの漢方薬は服用する人の体質によって薬の効き方に違いが生じてきます。漢方薬の世界では、「証」と呼ばれる考え方があります。

「証」とは漢方薬を服用する人の体力や抵抗力を指し示す言葉であり、「虚証」と「実証」の大きく2つに分けることができます。

「虚証」とは、体力がなく弱々しい体質の人を指します。虚証の人は、顔色が悪い、胃腸が弱い、寒がり、下痢をしやすい、細くて華奢といった特徴を持ちます。これに対して「実証」は体力が充実していて筋肉質な体格の人を指します。実証の人は、胃腸が強い、便秘気味、暑がりといった特徴を持ちます。

防風通聖丸は主に実証の人向けの漢方薬であるため、上記の虚証の特徴に当てはまる人の服用はあまりおすすめできません。また、証に限らず以下に該当する方は防風通聖丸の服用によって症状が悪化する可能性があるので、服用する前には必ず、医師、薬剤師、登録販売者などの専門家に相談するようにしてください。

・下痢、軟便のある方
・胃腸の虚弱な方
・食欲不振、悪心、嘔吐のある方
・病み上がりの方
・体力が著しく衰えている方
・発汗傾向の強い方
・狭心症、心筋梗塞など循環器系の障害のある方
・重症高血圧症の方
・高度の腎障害のある方
・排尿障害のある方
・甲状腺機能亢進症の方
・高齢の方
・小児の方

防風通聖丸の副作用

防風通聖丸では以下のような副作用が生じる可能性があります。こうした副作用は飲み始めの時期に生じやすいとされており、通常は服用を続けるうちに次第に治まってきますが、いつまでも症状が続いたり悪化するようなら、服用を中止して医師、薬剤師、登録販売者などの専門家にご相談ください。

・発疹、かゆみ
・不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮
・食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、軟便、下痢
・排尿障害

また、防風通聖丸ではごくまれに間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、黄疸、腸間膜静脈硬化症などの重大な副作用が生じる可能性があります。服用中に、発熱、せき、呼吸困難、脱力感、四肢痙攣・麻痺などの症状が現れた場合は直ちに服用を中止して医療機関を受診するようにしてください。

防風通聖丸の飲み合わせ

防風通聖丸に含まれる麻黄(マオウ)と呼ばれる成分には交感神経を刺激する作用があり、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮などを引き起こす可能性があります。下記のような薬にも麻黄と類似する作用があり、これらを防風通聖丸と一緒に服用することで上記の副作用が生じやすくなるため注意が必要です。

・麻黄含有製剤(他の漢方薬など)
・エフェドリン類含有製剤
・モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤
・甲状腺製剤(チロキシンなど)
・カテコールアミン製剤(アドレナリンなど)
・キサンチン系製剤(テオフィリンなど)

また、防風通聖丸には甘草(カンゾウ)と呼ばれる成分が含まれています。甘草も多くの漢方薬に配合されている成分なので、飲み合わせには注意が必要になります。このように、防風通聖丸には飲み合わせに注意が必要な薬が複数あるため、他に薬を飲まれている方が防風通聖丸を服用する場合は事前に医師、薬剤師、登録販売者などの専門家にご相談ください。

妊娠中の服用

防風通聖丸は「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい」とされているため、原則として妊娠期間中は服用を避ける方が良いでしょう。 どうしても服用したい場合は、事前にかかりつけの産婦人科医などに相談するようにしてください。

授乳中の服用

防風通聖丸は「授乳中の婦人には慎重に投与すること」とされています。お母さんが服用した防風通聖丸が母乳中に移行する量は極めてわずかなので、通常は授乳中の服用についてはそれほど心配する必要はありません。

ただし、防風通聖丸に含まれる大黄の成分が母乳中に移行することで赤ちゃんが下痢を起こす可能性があるため、もしそうした症状が見られた場合は授乳を中断して医師、薬剤師、登録販売者などの専門家にご相談ください。

防風通聖丸の通販(輸入代行)

防風通聖丸は市販薬としても通販(輸入代行)されているため、手軽に始められる肥満対策としておすすめの漢方薬といえます。一方で、漢方薬の効果は飲む人の体質にも左右されるため、人によっては思うような効果が得られない点には注意が必要です。

効き目が実感できなかったり、副作用が疑われる症状が出現した場合は、医師、薬剤師、登録販売者などの専門家に相談することを忘れないでください。また、肥満の改善は薬を服用するだけでなく食生活や運動習慣の見直しも重要になることは、きちんと頭に入れておいてください。

作成日時: 2022-07-03 22:07:49